2024年、5月11日(土)~12日(日) の2日間、土浦の霞ヶ浦医療センター研修施設 にて「排泄トレーナー養成コースステップⅠ」バージョンアップ版の講座が盛況のうちに閉幕しましたので、今回はそのレポートをいたします。
茨城県土浦市にある霞ヶ浦医療センターは、イチョウなどの大木がそびえ立つ緑に囲まれた敷地の中にあります。五月晴れの中、風も小鳥の声も心地よく、自然に癒やされながらの講座スタートとなりました。
今回の参加された方全員が看護師の資格をお持ちで、病院にお勤めの方、訪問看護の方等、現場の現状や在宅の実情等々お聞きすることができ、主催者側にとっても多くの貴重な情報をいただき大変勉強になりました。
この講座の特徴の1つは、「起こっている状況だけを判断するのではなく、その背景に対して、元となる基礎知識としてはどういうことが必要なのか、そして根拠をメンバーに伝え共有することができるか」までを考えられるようになろう、ということです。
皮膚編の例ですが、下記の通りに総合的に考えられるようにしています。
紙おむつを装着しておられる方の臀部に表皮剥離が認められる場合
- そもそも表皮剥離って何、どうしてできる?
- 高齢者の皮膚の特徴は?(老化現象としての変化も含め関連性は?)
- おむつ内の湿潤の原因は?
- 使用しているパッドの種類・性能は?
- 当て方・装着、陰部洗浄時の問題は?
- 他のおむつ内皮膚炎との鑑別の仕方、それぞれの創傷対応と日頃の注意点は?
紙おむつについての基礎学習から体験講義
紙おむつについては、構造から入りました。
それぞれの紙おむつの特徴(アウター・インナー)を知り、その特性を活かした使い方ができているかどうかの確認です。
体型や姿勢から漏れを検証したり、さらには、褥瘡予防に繋がるよう、本来無意識で行なっている動き(例:自分が右側臥位になる時は、どういう動きをするのか)を思い出しゴソゴソできるよう(除圧)、ご本人に「声かけおむつ交換」についても体験しました。
鈴木真由美先生による皮膚編の講義
実際に受講された皆様からの感想が届いておりますので紹介させていただきます。
- 鈴木先生の講義は写真や具体的な事例もあり、現場でも役立つ情報が盛り沢山でした。本当に分りやすかったです。
- 陰茎部が壊死している人がいて、原因が分らなかったのですが、写真を見て、おむつのギャザーに穴を開けて巻いていたのだと分りました。すぐ止めるように話します。
- 鈴木先生のお話を聞くと、自分がいかに安易に皮膚の状態だけを見ていたか反省しました。
- 高齢者の皮膚の特徴や、排泄物の影響、さらには間違ったおむつの使い方など、すべてが関連しており、未然に防ぐ、予防に繋げることもトータルとして必要なことが良く分りました。
- 創の見方から、処置のしかた(ガーゼ等の使い方・外用薬の選び方、適切な量など)1つ1つがすぐ実践できるものばかりで、これからは根拠をもって処置に当たりたいと思います。
- 同じ臀部でも、褥瘡と他の皮膚炎が混在している症例も分りやすかったです。
- 治りが悪いと思っていたら、抗菌薬の塗り方が足りていなかったんだと気が付きました。
メーカーさんならではの専門的な講義
さらに、医療福祉機器の専門メーカー、株式会社ケープさんからは、最新の情報提供がありました。
ただ講義を聴くだけでなく、実際にエアーマットに寝てみて圧の分散の感じや、ポジショニングのやり方などメーカーさんだから言える裏技も含め、目からの鱗の使い方を教えていただきました。
今回、実演や実技を通して参加された方の熱量が伝わってくる中で、対面講座の良さを再認識いたしました。
鈴木真由美先生やケープの佐々木様、多くの方の力をお借りでき、人との出会いの大切さも痛感しました。
人それぞれ受けとるものは違うかもしれませんが、皆さんの笑顔や休憩時間に聞こえてくる会話や笑い声から自然と豊かな気持ちが生まれ、学びと休息(日常)そういった場を共有できたことで、明日からの未来が明るく思えました。
ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。心より感謝申し上げます。